僕のファクトリー
週3くらいですがバイトを始めました。
何かよくわからない工場で、よくわからない物が入った缶づめを作っています。
『何が入ってるかわからない缶詰』って15年くらい前にテレビのニュースで話題になったことあるから知ってる人もいるんじゃないかな。
流行ってた頃は日本橋とかでラベルもなんも貼ってない銀色の缶詰がこうだーっと天井まで山積みに積んで売ってたの、
見た事ある人は覚えてるんじゃないかな。
宝くじの一億円の当選券が入ってたとかで、当時は買い占める人とかいたんだけど。
まぁ大体これどうすんのよみたいなものが入ってるんですよ。
だっさいハンカチとか。
キーホルダーとか。
よくわかんない何かの部品とか。
わたしも宝くじ騒動の時ひとつだけ買ってみたけど、
すごい達筆な文字で
「冷やし中華始めました」
って書いた紙が入ってました。
でも時々本当に不思議なものが入ってるらしくて。
友達の中に
「子どものころ失くしたキンケシが入ってた。名前も書いてあったからまちがいない。わけわからん…あの缶詰作ってる工場ってどうなってんだろ?」
って不思議がってる子がいました。
いやー、
まさかその工場が大阪にあるとは。
しかも普通に派遣のアルバイトを雇ってるとは。
工場に入ると何かよくわからないけど巨大な機械があって、
ベルトコンベアで空の缶が流れてくると、
機械の口?みたいなとこから
どぅるん、どぅるん、てなんかよく分からない物がでてくるんです。
その出てくるところじーっと見てるだけの仕事なんですけどね、
めっちゃ楽なわりにすっごい時給いいんですよ。
別に数数えて報告ーとかしなくていいし、人と話さなくていいからすっごい楽なんですけど。
ただね、
本当にね、じーっと見てても何かよく分からないんですよ。
でも缶のふたが閉まる直前に何かの形に見える時があって、
蛙に見えたり、
果物に見えたり、
自転車に見えたり、
昔好きだった女の子の顔に見えたり、
地図に見えたり、
何か言葉で言い表すのがむずかしいんだけどそれを見てると夏休みの最後の日みたいな気持になったり、
今朝見た夢のことを突然思い出したり、
恐ろしいものに見える時もあるんだけどね、
うわ!こわっ!!
ってなっても一瞬だけですぐ缶のふたが閉まっちゃうから。
そんな感じだから飽きることがなくてずーっと見ちゃうのね。
なんかね大体みんな頭おかしくなってやめちゃうんだって。